
ダイトーウイングに対して集団訴訟や原告側である東京法律事務所について取り上げてみます。
皆さんは2017年に起きたダイトーウイングへの集団訴訟はご存知でしょうか?
この訴訟では、原告の3名がダイトーウイングに対して購入した商品総額分の契約無効・取り消し、返金を求めるといったものです。
原告には、東京法律事務所の弁護士が担当しています。
ダイトーウイングの集団訴訟を担当している東京法律事務所とは、どのような実績を持っているのでしょうか?
今回は、東京法律事務所や所属している弁護士について、さらにダイトーウイングの集団訴訟についてもご紹介していきましょう。
ダイトーウイングの集団訴訟について気になっているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
ダイトーウイングで起きた集団訴訟(裁判)の内容

ダイトーウイングの親会社であるダイトーグループの公式サイト
まずはダイトーウイングで起きた集団訴訟の内容からご紹介していきましょう。
詳細が気になる方はダイトーウイングで集団訴訟が発生!互いの主張を徹底調査を読んで見てください。
この集団訴訟は、2017年4月に原告側が千葉地裁へ集団訴訟を起こしたことから始まりました。
原告は70代・80代の女性3人であり、原告がダイトーウイングから購入した商品の総額約1800万円分の契約無効・取り消し、返金を要求している形です。
原告の3人はいずれもダイトーウイングの店舗を知人から紹介され、磁気治療器や健康食品などの購入をしています。
高額な費用を使ったにも関わらず、なかなか効果が出ないため返品と返金をダイトーウイング側に申し入れたのですが、一部を除き申し入れが受け入れられなかったため、今回の集団訴訟を起こしています。
この集団訴訟に関して、東京法律事務所はダイトーウイングが行っている販売手段を「催眠商法(SF商法)」と同様のものだと主張しており、各契約において公序良俗違反や錯誤による無効、消費者契約法や特定商取引法に基づく取り消し、返金を求めているのです。
ダイトーウイング側の言い分に関しては後ほど詳しく説明しますが、ダイトーウイングについて調べたところ、これまで集団訴訟を起こされたケースはなく、今回初めての訴訟となったようです。
ダイトーウイングの販売方法は恐らく以前から今に至るまで変わっていないと予想できます。
そんな中での集団訴訟だったため、ダイトーウイング側も驚いたことでしょう。
今回特に注目を集めているポイントとしては、ダイトーウイングの販売手法が催眠商法であるかどうかという部分が挙げられます。
催眠商法とは、お得な情報を提供して会場に誘い出し、高額商品を販売するという方法になります。
なぜ催眠商法と呼ばれているのかというと、お得だと言いつつ高額な商品を販売しているためです。
「数に限りがある」と紹介したり、スタッフがテンションを上げて全体の冷静さを失わせたりと、無意識的に高額商品を買ってしまうような環境を作っているのです。
集団訴訟の内容を見ると、原告3人はいずれも知人から紹介されて会場に足を運んだと言っています。
その根源にはお得な情報があったかもしれませんが、今回の訴訟内容からではよく分かりません。
また、数に限りがあるといったような内容や、テンションを上げさせるような販売方法は取っていないことが分かります。
会場では来てもらった方に喜んでもらえるよう、イベントを開催していたようですが、あくまで販売とは無関係であり、冷静さを失わせるために販売していたわけではなさそうです。
これまで一度も訴訟が起こされていなかったことも、催眠商法と異なるためだと言えます。
東京法律事務所とはこれまでにどのような裁判を扱い、実績を上げているのか

東京法律事務所の公式サイト
原告側の東京法律事務所では、これまでどのような裁判を行っており、どんな実績を上げているのでしょうか?
続いては東京法律事務所について紹介していきます。
東京法律事務所の概要
東京法律事務所は、1955年に設立し60年以上もの歴史を持った法律事務所です。
現在は弁護士31名が所属しており、様々な問題に対応しています。
東京都新宿区四ツ谷に事務所を構えています。
東京法律事務所で取り扱っているもの
東京法律事務所では、様々な相談に対応できるよう取扱事件も幅広いです。
不動産売買や賃貸借に関する問題
トラブルが起きやすいと言われている不動産売買に関して、東京法律事務所では豊富な実績を基に問題解決に向けて対応しています。
トラブルの解消はもちろんですが、売買契約書の作成やチェック、登記手続き、不動産売買に関する税理問題や税理士の紹介などを実施しています。
相続や遺言、成年後見人制度に関する問題
こちらもトラブルが多いと言われているものです。
手続きや相続が複雑化していて家族だけではどうにもならないという時、専門家である弁護士が対応してくれます。
遺産は税金にも大きく関わってくるため、専門家に依頼した方がスムーズでしょう。
離婚問題や家族関係の問題
東京法律事務所には、男女問わず離婚の相談が多く寄せられています。
また、家族関係を巡る問題も多いようです。
実親子関係にあるかどうか、養親子関係を成立させる際の手続き、親権に関する問題にも対応しています。
交通事故に関する問題
交通事故に関しては、東京法律事務所内に財団法人交通事故紛争処理センターの示談斡旋員、財団法人日弁連交通事故相談センターの東京支部委員を担っている弁護士がいるため、複雑な問題に関しても解決が期待できます。
フランチャイズに関する問題
現在、コンビニや外食チェーン、学習塾などといった様々なフランチャイズがありますが、加盟した方とフランチャイズ本部の間で問題が生じてしまう可能性があります。
また、場合によってはフランチャイズ本部側が加盟者にとって不利になりやすい契約を締結してしまい、加盟者を追い込んでしまうケースも少なくありません。
東京法律事務所では2012年のフジオフード事件や宅配ずしAチェーン店事件を担当しており、解決に至っています。
これ以外にもハラスメント問題や中小企業の法務・倒産・再生に関する取り組み、債務整理や破産などの問題、登記手続き、行政処分訴訟や社会保険に関する問題、刑事事件などにも対応しています。
東京法律事務所所属・今泉弁護士について(裁判歴など)

今泉義竜弁護士(引用元)
東京法律事務所が様々な問題に対応しているということが分かりました。
続いては、ダイトーウイングの集団訴訟に携わっている弁護士についてご紹介していきましょう。
ダイトーウイングの集団訴訟に携わっているのは、今泉義竜弁護士と岸朋弘弁護士の2名です。
まずは、今泉義竜弁護士についてどのような弁護士なのか解説していきます。
今泉弁護士について
今泉義竜弁護士は、静岡県浜松市出身で2002年に東京大学法学部を卒業後、2008年に弁護士登録をしています。
第二東京弁護士会に所属しており、2012年から2013年の1年間にかけて弁護士会常議員を務めていました。
また、その他にも現在は青年法律家協会副議長や修習生委員会委員長、日本労働弁護団常任幹事と事務局次長を担っています。
今泉弁護士が東京法律事務所で主に取り扱っている事件は以下の通りです。
- 労働事件
- 交通事故や不動産、離婚、相続、医療事故などの民事事件
- 刑事事件
- 生活保護の申請援助
- B型肝炎給付金請求手続き
自身が日本労働弁護団に所属していることもあり、主に労働事件の実績が多く見られます。
ただ、それ以外にも幅広く民事・刑事問わず担当していることが分かります。
今泉弁護士の実績
今泉弁護士の実績を調べてみると、いくつか実績が残っていました。
一つは「IBMロックアウト解雇事件」です。
これは、2013年の5月~7月にかけ、26人の社員に対し、週末金曜日にミーティングを行うと言われて訪れたら、突然人事担当者が表れて解雇予告を宣告、翌週には出入りが禁止され会社から追放されてしまったというものです。
ミーティングに参加しなかった場合は解雇予告通知書が速達で郵送されたり、新卒以下の職位を与えられ、隔離部屋に追い込まれて退職勧奨されたりとかなり悪質な動きがありました。
このロックアウト解雇に対して不当な解雇だということで今泉弁護士を含む弁護団が裁判を起こしました。
結果、2016年に最終判決が下り、原告全員の全面勝訴で終わっています。
もう一つは、ブルームバーグPIP解雇事件です。
こちらは通信社として知られるブルームバーグで、記者に対し業績改善プラン(PIP)と呼ばれていた過大なノルマを与え、能力不足を理由に解雇された事件になります。
2015年11月には東京高等裁判所にて和解が成立しています。
この和解は労働者側の勝利的和解となったため、実質勝訴であると判断できます。
今泉弁護士は不当解雇や派遣切り問題、残業代請求といった労働問題に特に注力しているようです。
東京法律事務所所属・岸弁護士について(裁判歴など)

岸朋弘弁護士(引用元)
東京法律事務所に所属する岸朋弘弁護士も、ダイトーウイングの集団訴訟に関わる人物です。
どのような弁護士なのか、プロフィールや経歴・裁判歴を調べてみたので、ご紹介しましょう。
岸弁護士について
岸弁護士は1988年に福井県で生まれました。
2014年に司法試験に合格し、2015年12月に第二東京弁護士会に登録されます。
そして、同じ頃に東京法律事務所へ入所し、弁護士としての道を歩み出しました。
岸弁護士の取り扱い分野は次のようになっています。
- 労働者側の解雇や残業代未払い等の労働事件
- 相続や遺言、離婚といった家事事件
- 交通事故、不動産取引などの一般民事事件
- 買取り詐欺やSF商法など消費者事件
- 刑事事件
- フランチャイズ
- 債務整理
このように幅広い分野の事件や案件を担当しています。
岸弁護士の実績
岸弁護士の裁判歴など実績を調べてみましたが、詳しい実績は見つかりませんでした。
2015年に入所したので、まだ経験が浅く、大きなニュースになるほどの事件を担当した経験がない可能性があります。
その一方、一般民事などの個人的な案件で実績を積んでいるのではないかと考えます。
なお岸弁護士は東京法律事務所に所属する一部弁護士と共に、福島原発被害弁護に参加しています。
この団体は福島の原発事故の被害賠償を求める裁判を起こしており、岸弁護士は地方裁判所のいわき支部にて「避難者訴訟」の裁判を担当しているようです。
この訴訟では、原告側は200人以上、約132億円の賠償を求めました。
原告は1人を除いて、全て強制避難区域に住んでいた住民でした。
地元の裁判所で集団訴訟することで、裁判所が住民の被害への深刻さや実態をどう受け止めるかが焦点と言える裁判です。
岸弁護士は現地調査にも参加しており、文字では伝えきれないほどの被害を肌で感じた様子で、他の弁護士や原告者と連携して解決にあたっていたようです。
福島原発に関する問題や裁判は未だに続いており、完全に解決するまで岸弁護士はこの先も関わっていく可能性は十分に高いでしょう。
また、岸弁護士は労働事件の担当に力を入れていると考えます。
司法試験を受けてから、彼は労働問題に取り組む姿勢を見せていました。
東京法律事務所が労働問題に対して積極的に取り組んでいることから、入所を決めたそうです。
岸弁護士は日本労働弁護団に所属しています。
これは東京に本部を置く、労働者の権利擁護に向けた活動をしている弁護士団体です。
この団体では訴訟活動やその支援や協力、法律相談、労働判例や労働委員会、法制や政策、労働実態の調査研究・提言などの活動を実施しています。
また、労働法に関する講座や討論集会も定期的に開催され、岸弁護士も労働判例命令研究会にて判例報告を行っています。
活動に積極的なところから見て、取り扱う分野の中で労働事件に強い弁護士と言えるでしょう。
ダイトーウイング側の言い分

ダイトーグループにおける新年総会の様子(引用元)
ここまでダイトーウイングへの集団訴訟や、原告側の弁護士について調べてみました。
では、被告側のダイトーウイングの言い分はどうなのでしょうか?
本当に催眠商法等の違法活動に該当するのか、事実関係を検証してみます。
特定商取引法に違反していないか
集団訴訟では楽しいイベントが毎日開催されており、行ってみたら「ドリームシャワー」を紹介されたと主張しており、特定商取引法に違反する勧誘方法ではないかと疑われています。
特定商取引法の対象となるのは訪問販売や電話勧誘、連鎖販売取引などです。
また、法律で消費者に勧誘する前に、事業者名と共に勧誘目的であることを伝える義務が定められています。
例えば、口頭で伝えたり、パンフレットを配布して目的を示したりする必要があります。
ダイトーウイングは、「自社商品は特定商取引法の適用にならない」、同時に「即時購入を強要する営業活動はしていない」と主張しています。
特定商取引法は即日購入を制限することで適用されます。
ダイトーウイングは顧客に対して即日購入は求めておらず、十分検討し、納得してもらった上で購入してもらうことを推奨しています。
この言い分から、特定商取引法には触れていないと言えます。
ドリームシャワーの効能は正確に伝わっているのか
原告側は糖尿病やうつ病が改善されると体験談で危機、店長も同様の効能を騙っていたと主張しています。
ここで気になることは、ドリームシャワーの効能が正しく伝えられているかどうかです。
まず、糖尿病やうつ病が改善されると説明した場合、病気を治す効果から薬事法に触れる恐れがあります。
そもそもドリームシャワーは磁器治療器であり、病気を直接治す効果はありません。
なので、ダイトーウイングは薬事法に触れないように気をつけながら、効能を説明するように指示していると主張しています。
また、商品は実際に体験してもらい使用感などを確認してもらった上で、商品を勧めて購入を検討してもらっています。
上記でも説明したように、特定商取引法に触れるような即日購入の強制はしていません。
商品の事例に関して話すケースもあるようですが、それを額面通りに受け止めてしまう人も少なくなく、それが集団訴訟のトラブルにつながったのではないでしょうか?
糖尿病やうつ病の改善はあくまでも体験者の主張であり、メーカーが提示する効能ではありません。
ドリームシャワーで体調が良くなったことで、病気の治療も良い方向に向かった可能性があります。
このような偶然が重なり、ドリームシャワーの効果だと利用者は勘違いしたのではないかと考えます。
はたして軍配はどちらに上がるのか。
ダイトーウイングで起きた集団訴訟についてご紹介してきましたが、どちらに軍配が上がるのでしょうか?
言い分を聞く限り、ダイトーウイングの違法性はほとんど感じられません。
今回の集団訴訟はダイトーウイング側の非というよりも、伝える側と受け止める側の相違が原因で起きたトラブルと考えます。
ダイトーグループの商品を求める人は、健康に不安を抱える方やいつまでも健康でいたい人が中心です。
体の悩みを改善したい一心からメーカーの説明以上に、利用者の体験談の内容を重視してしまうのではないでしょうか?
ドリームシャワーはあくまでも健康機器であり、病気を治す効能や機能は備わっていません。
使うことで体の調子が良くなり、そのおかげで病気が治ったと勘違いする人は少なく、その勘違いが体験談でダイレクトに伝わってしまったのでしょう。
話し方にも多少の問題はあったかもしれませんが、受け取り側も冷静に考えず、そのまま受け止めてしまったことがトラブルの引き金と言えます。
ダイトーグループは50年以上の歴史を持つ企業です。
今まで特定商取引法や薬事法に気を付け、適切に商品販売を行ってきました。
なので、訴訟を受けるのも今回が初めてです。
集団訴訟に対する主張はダイトーウイングもはっきり反論しており、事実関係を検証しても法的に問題はないと言えます。
そもそもダイトーグループは販売方法と特性上、営業や販売に関してはかなり気を使っているようです。
定期的に研修会を開き、また専門家も招いて基礎からしっかり学び、スキルアップしていく姿勢を長年貫いています。
徹底された社員教育も長年信頼され続けている理由につながっており、違法なことをして信頼を地に落とす行動を取るとは考えにくいです。
個人的に集団訴訟によりダイトーウイングおよびダイトーグループが致命的な立場に陥る心配はないと考えています。
誠実な対応を心掛けているので、裁判での勝機は十分にあると言えるでしょう。