誹謗中傷はインターネットが普及し、匿名で個人の意見を自由に発信ができるようになったことで一気に増えました。さらに近年では、TwitterやFacebook、Instagramなどの需要が増えたため、誹謗中傷を目にしない日はないというほど、ネットでの中傷が後を絶ちません。
今回は、netgeekの嘘と罪から見える誹謗中傷についてご紹介していきます。
誹謗中傷と批判の違い
まず、誹謗中傷と批判は区別が難しいと言われていますが、それを理解せずに発言している人も多いのではないでしょうか?
批判は、根拠や理屈に基づいて物事の検討や判定・評価を行うことで、人の言動などに誤りがあった際に欠点を指摘して改善を論じます。
一方で誹謗中傷は、根拠に基づいていません。他人を否定する場合、根拠や理屈に基づかない場合は説得力がなく、それは誹謗中傷と見なされます。
Twitterでの発言の難しさ
Twitterでの発言の場合は140文字の制限があり、根拠がない誹謗中傷やヘイトスピーチが可能になってしまう危険性が高いです。
主張の根拠を明示することが難しく、根拠なく断定された発言の真意は、読み手に委ねられてしまい、関心がない発言の場合はそのままタイムラインに流れてしまって真偽が不明のままとなってしまいます。
また、Twitterにはリツイート機能が付いており、リツイートが次々と他の人にされることによって多くの人にそのツイートが瞬時に読まれる仕組みとなっています。
そのため、情報拡散力が凄まじい中、連続した一部のツイートだけが文脈を切り離されたりしてしまうと、根拠がなく真偽不明な情報となって拡散されてしまうのです。
netgeekに対する集団起訴トラブル
そんな中、Twitterで発言したツイートが元で、誹謗中傷を受け話題になっているのがWebコンサンタルトの永江一石さんです。永江一石さんはバイラルメディアのnetgeekに対し集団訴訟を行っており、サポーターを求め、クラウドファンディングをしています。
永江一石さんによると、netgeekは運営者情報を隠し、社会的弱者や一般人を狙って炎上させてブログのPVを稼いで「ネット上の集団リンチ」で稼いでいるとのことです。
netgeekというサイトは2013年から開設されており、日本初となるバイラルメディアと名乗っています。日本を含め世界各国で起きているニュースを画像や動画と共に分かりやすく届けるといった内容のメディアサイトです。
主にIT・テクノロジーやビジネス、芸能関連や動物の記事を取り扱っていますが、他にも「炎上」というカテゴリーの記事が存在しています。
今回トラブルの元となったのが、2018年9月19日に永江一石さんがツイートした以下の文章です。
この間、下田のおそば屋さんに入ったら(そこしか空いてない)、例のごとく煙草の煙臭く、みたら食い終わってる女が火の付いたタバコを手に持って歓談しているので「タバコ臭っ、蕎麦食うどころじゃないので出よう」っていったらそそくさと火を消して出て行ってくれたのでやはり言うことは言おうと思った
この文章に対し、netgeekは、
喫煙可能な蕎麦屋に入ったのに、タバコを吸っていた女性に文句を言ったという頭のおかしい投稿。おそらくタバコを消して出ていった女性は自分の非を認めたわけではなく、変なおじさんに絡まれたと思ってトラブルを回避しただけだと思われる。 しかし永江一石は勝ち誇るようにこのエピソードをTwitterに投稿したのだ。きっと自分のほうが正しいと思っているのだろう。投稿はネット上で大炎上し、批判の声が殺到した。
という内容の記事を記載し、「炎上 永江一石、喫煙席に乗り込んでタバコに文句を言う奇行」というタイトルを付けて投稿しています。
永江一石さんはタイトルからしてデマだと主張しており、喫煙・禁煙の表記がなく、前にその蕎麦屋に行った時は喫煙者は誰も居らず、入り口には従業員が居なかったそうなのですが、netgeek側は勝手に喫煙可能な蕎麦屋として記事を投稿してしまったのです。根拠がなく勝手な憶測でのこういった投稿は、誹謗中傷となってしまいます。
また、下記のような名誉毀損に該当する発言も記事には書かれていました。
中学校を退学になるというのはよほど悪いことをしたということなのではないか。素行不良とぼやかされているところが気になる。また中退後に大学に入るまでの経緯も不明。まともな人の経歴ではない。
なお、蕎麦屋にも最後に禁煙にするように言ったとのこと。自己中心的で頭がおかしい客だ。
もはやタバコという評価軸でしか物事を判断できないらしい。自分が嫌いなものにとらわれて生きているというのは不幸以外の何者でもない。Webコンサルタントという肩書を名乗っているが、月100万PVを自慢するあたり、小物感が半端ない。
自分は正義だと思いこんで暴走する永江一石はタバコの何百倍も有害だと思う。
裁判では特に最初の文章が、決定的に名誉毀損と断定されると言われています。
永江一石さんは、
Netgeekは社会的弱者などの一般人を狙って、自分の氏素性は完全に隠して全く取材をせずに誹謗中傷を行い、野次馬が集まってくるように仕向け広告でお金を稼ぎます。しかし、被害者はNetgeekに扇動された人たちによってさらに脅迫や誹謗中傷を受け、精神的、社会的に大きなダメージを受けます。個人情報を晒させるため、勤務先まで押しかけられたり嫌がらせをされたり、家まで押しかけてこられた人もいます。警察に被害届を出したケースもありました。著作権侵害も日常的に行い、クレームに対して全く返事もしない反社会的な企業です。いわば「集団リンチを仕立て上げてお金を稼ぐ」ビジネスモデルです。 政治家や評論家、芸能人のようにマスコミにでることが生業の人と違い、普通の一般人を狙ったやり方は、まったく公共性に欠け、しかも裁判費用も出せない社会的弱者を狙い撃ちするケースも多いです。今回の裁判ではこうした悪徳ビジネスが社会的制裁を受けるということを証明したいです。
と発言しており、クラウドファンディングで300万円を5月末までに集め、その資金を裁判費用に充てて、余った費用は社会的弱者が被害を受けた際の基金にすると考えているそうです。
誹謗中傷における対策
若者間でもTwitterであえて相手の名前を出さずに、自分のことかもと不安になるようなツイートをしたり、根拠のない噂を流したり、いじめられて困っている人は多く居ます。「表現の自由」とは言え、このまま誹謗中傷を野放しにもできないため、Twitter本社は日本においてもヘイトや誹謗中傷の対策をしていく必要があるでしょう。
また、他人に対して意見を述べる場合、否定をしたい際は必ず明確な根拠を示す必要もあり、このトラブルの他の事例を振り返ってみても、批判ではなく誹謗中傷となってしまっていることがほとんどです。
しかし、明確な根拠に基づき発言したとしても、相手を傷つけてしまう可能性も否めません。そのため、丁寧な言い方で相手の意見の良いところもきちんと伝え、解決策を一緒に考えたりするなどの配慮を一人ひとりが心掛けるのが大切なのではないでしょうか?
より良い人間関係と社会を作るためには、「ネット上で顔が見えないからいいや」と安易な気持ちで書き込みをせず、自分の発言にしっかりと責任を持つ必要があります。
批判を行いたい場合は、明確な根拠に基づいて論じなければいけなく、根拠がない場合、誹謗中傷をしたとみなされる危険があるため、注意しなければいけません。