大学も飲食店も実はフェイク!嘘で包まれたキャンセル騒動
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インターネットを見れば色々なことが分かる時代となりましたが、中でもTwitterを始めとしたSNSの情報に対する影響力は大きなもので、真実と一緒に虚偽の情報までたくさん流れています。

2018年の春に、あるツイートがインターネットで拡散され大きな話題になりました。それは「大学職員が飲食店の貸し切り予約を無断でキャンセルした」という内容だったのですが、実はこの騒動は全て嘘に包まれたものだったのです。

今回は大学も飲食店も騒動も全てフェイクだったキャンセル騒動をテーマに書いていきます。

Contents

騒動の発端は?

キャンセル騒動が表沙汰になったのは2018年5月13日。長野県安曇野市に店舗がある「蛞蝓亭(なめくじてい)」といううどん屋がTwitterで騒動に関するツイートをしたことがきっかけでした。

国際信州学院大学の教職員50人が蛞蝓亭を貸し切り予約していたものの、予約時間を過ぎても訪れないことから連絡したところ、キャンセルの返事がありました。お店ではすでに料理の準備が済んでいることもあり、キャンセル料を請求したところ、予約した大学職員に「そんな説明は受けていない」と逆ギレされます。

蛞蝓亭はその逆ギレにショックを受けたのか、「二度と来ないで」と怒りのツイートを発信しました。この騒動のツイートに対して、Twitterユーザーはどんな反応を見せたのでしょうか?

 

キャンセル騒動に対するTwitterでの反応

ええ!?勿体無いです~。 弊社の社員連れて食べに行きましょうか?もちろんお代も払います。
人に教える立場の人間が何をやっているんだ 会議室の予約じゃねーんだぞと言いたい
食べ物の廃棄の無駄もそうですが 作った人の心のことを考えると胸が痛いです 自分もバイトで飲食店で働いていますが気持ちは痛いほど分かります これを機に頑張ってください!!

紹介したツイート内容はごく一部ですが、蛞蝓亭への同情や応援の言葉、大学職員を批判する声が目立ち、問題のツイートあっという間に4万を超えるリツイート数で拡散されていきました。

一連の騒動全てが「嘘」と発覚!

教育者としてあるまじき行動に非難が殺到し炎上した国際信州学院大学ですが、実は国際信州学院大学は現実には存在しない大学だと分かりました。その上、蛞蝓亭も具体的な住所や存在確認が実証できないことから、架空のお店であることも判明しています。

そもそも店名に「なめくじ」という飲食店ではあり得ない言葉を使っていることから、最初からフェイクと疑う人も少なくありませんでした。最近、「なめくじ」を食べた男性が四肢麻痺という重篤な障害を患い死亡したというニュースがありましたが、「なめくじ」は不衛生な生き物であり、飲食店なら普通は名付けには使用しません。「ねずみ」や「ゴキブリ」など店名を避けるのと同じです。

お店から大学、キャンセル騒動まで全てフェイクだったのですが、なぜ大勢の人々が信じてしまったのか。その理由は以下の通りです。

 

実在するようなTwitterアカウントやホームページ

お店や大学がフェイクと疑われなかった理由は、一般的なお店や企業、学校などと同じようなTwitterのアカウントやホームページがあったからです。

蛞蝓亭は騒動が起きる同年4月からツイートを配信しており、おにぎりとうどんセットの紹介や国際信州学院大学側からの大量注文、イベントへの出店など画像付きでツイートしています。あたかも営業しているようなリアルなツイートのせいで、実在する店舗と信じた人が多かったのでしょう。

また、国際信州学院大学も検索すると上位にホームページが表示されており、そこには大学の入口と思われる場所の画像や入学案内、職員紹介ページなど一見すると普通の大学と同じようなしっかりしたコンテンツ内容となっています。

ただ、歴代校長の紹介を見ると歴史上の人物やフリー素材を用いた画像と共に、著名人の名前を改名した校長の名前が表示され、他にも就職実績の中にYoutuber200人など明らかに不自然な情報が掲載されており、ここでフェイクと気付く人も多かったようです。

 

手が込み過ぎている

上記のような営業しているようなツイート内容や実在するようなホームページの作りだけではなく、騒動の際に色々と手の込んだことが行われていたことも騒動を信じ込ませた要因でしょう。

国際信州学院大学には相撲部やコンピューター同好会など部活があり、部活動や生徒の個人アカウントまで用意されていました。蛞蝓亭は国際信州学院大学の生徒にとって馴染みのあるお店で、そこに自分の大学の職員が迷惑をかけたことを謝罪するツイートがいくつか呟かれていました。

 

【国際信州学院大学の生徒のツイート】(これも騒動をリアルに見せるための「嘘」と後に判明)

この度は国際信州学院大学の教職員が大変ご迷惑をお掛けしましたm(_ _)m 学生ですが、先生方に代わって謝ります。誠にごめんなさい… ちなみに結局キャンセル金は払ってもらえたのでしょうか?
晩飯やうちの会の打ち上げでいつもお世話になっているお店で まさか無断キャンセルが発生するとはショックですね 当会はドタキャンは絶対にしません!

また、この他にも一般人で蛞蝓亭の評判を聞いて行こうと思っていた、という内容のツイートもみられました。
蛞蝓亭も寄せられたツイートに対して「泣く泣く廃棄した」、「学生さんは悪くない」などリアルな返信をしています。

国際信州学院大学のホームページは騒動後、トップページが「アクセス集中によりサーバーが安定しない」という内容に変わっており、この表示自体もフェイクでした。

このように手の込んだネタであることから、よく見ればフェイクと分かるもののどうしても騒動を信じてしまう人が後を絶たなかったのでしょう。

なぜフェイクの情報に騙されるのか?

今回のキャンセル騒動に引っかかった人は、スマホが普及してインターネットを始めた人、もしくは「2ちゃんねる」のことをよく知らない若い世代に多いでしょう。

2ちゃんねるは日本で最大級のインターネット掲示板で1999年5月から運営されており、管理者が変わりながら現在は「5ちゃんねる」と掲示板名やドメインを変えて運営されています。

掲示板では様々なテーマでスレッドが立てられ、その中では時代の流れに合わせて様々なネットの流行を生み出しており、まさにネタの宝庫でした。キャンセル騒動に似たようなネタは2ちゃんねるでは古くから存在しており、定番ネタでもあったのです。

しかし、今ではSNSが主流であり、ネタが蔓延る2ちゃんねるの文化を知る若い年齢層はかなり少ないと言えるでしょう。騒動をネタにした人は「騙されるのは情弱ぐらい」と、2ちゃんねるのノリで騒動を起こした可能性があります。

しかし、2ちゃんねるを使ったことがない人からにすれば、手の込んだ内容はネタと思いにくいでしょう。ちょっと考えれば誰でも気付ける内容であっても、インターネットのネタ文化に慣れていないSNS世代の人にとっては難しい問題と言えます。

また、SNSは掲示板以上の拡散力が高いところも騒動が大きくなった原因でしょう。問題のツイートばかり大きく拡散されるので、誰かがフェイクであることを発言してもそれを真実と受け止める人が少なかったと考えられます。

インターネットは情報を得る上で便利なツールですが、今回の騒動のようにお遊びでネタを発信する人は少なくなく、巧妙化してくると簡単に判断することはできません。虚偽の情報はトラブルも起きやすいので、年代問わずITリテラシーについて学び、それを意識してインターネットやSNSを使うことを心がけていきましょう。

SNSなどで回ってきた非公式の情報はすぐに真に受けず、他の情報と照らし合わせた上で本当かどうか冷静に見極めていくことが大事です。

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