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KYBの免震・制振装置の検査データ改ざん問題、その詳細は?

免震装置の検査データ改ざん問題により、国土交通省は免震装置の各メーカーに対し不正が行われていないか報告を求めました。調査要請は86社を対象に社内調査が行われましたが「不正なし」という回答が出たのは81社、残りの5社は何らかの理由で回答が遅れたようです。

そんな中、KYBでは免震や制御用装置でデータ改ざんされていたことが明らかになりましたが、一体どのような改ざんが確認されたのでしょうか?

今回は、KYBの改ざん問題について真相を調べていきたいと思います。

KYBのデータ改ざんを検証!改ざんした理由とは

油圧機器などを取り扱っているKYBは、地震の揺れを抑える専用装置である免震装置・制振装置の検査データを改ざんして納品していたと発表しました。改ざんデータされた装置を使用した建物は、全国各地にある病院やマンション、学校、市役所などを含め986件以上にも及んでいます。

KYBは国土交通省から安全性を検証したデータの回答を求められ「震度7程度の地震でも耐えられることが確認できた」と説明しています。しかし、国土交通省は再びKYBに対して問題対象となる装置の交換計画や再発防止策を提出するよう指示し、改ざんの有無を確認するための調査が行われました。

KYBは2003年1月より出荷する全装置を国土交通省の基準や顧客の指定基準を満たない検査データで納品していたという内容を認めています。検査記録や聞き取り調査などから少なくとも8人の検査員が検査データ改ざんに関わっていたことが明らかになっています。改ざんは2003年1月以前の検査記録が残されていないため、それ以前の装置も不正の疑いがあるとされていますが、証拠となるデータがないことから不正の有無が明確になっていません。

不正が確認された装置は都道府県別に東京都で免震222件・制振28件、大阪府で免震98件・制振9件、神奈川県で免震67件・制振4件という不正が公表されています。KYBは検査データ改ざんに踏み切った理由を「納期を意識してデータを書き換えた」と証言しており、納期に遅れないために検査担当者が改ざんを行ったという供述があります。

免震・制振装置の検査データ改ざんの対象施設

KYBは検査データ改ざんの疑いのある施設を18件公表しました。以下は改ざんが確認された一部の施設です。

・さいたま市複合公益施設サウスピア(埼玉県)
・さいたま市大宮区役所新庁舎(埼玉県)
・社会医療法人財団石心会 川崎幸病院(神奈川県)
・長岡市消防本庁部庁舎(新潟県)
・みよし市役所本庁舎(愛知県)
・南部町国民健康保険 西伯病院(鳥取県)
・愛媛県立中央病院(愛媛県)

 

さらに改ざんの疑いのある施設が11件公表されています。

・佐野市新庁舎(栃木県)
・横浜市衛生研究所(神奈川県)
・射水市庁舎(富山県)
・石川県立中央病院(石川県)
・岐南町庁舎(岐阜県)
・清須市役所北館(愛知県)
・国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター(愛知県)
・愛知県警察本部新庁舎(愛知県)
・三原市新庁舎(広島県)
・市立八幡浜総合病院本館(愛媛県)
・南国警察署庁舎(高知県)

KYBのデータ改ざん問題で問われる豊洲市場の安全性は?

KYBの不正製品を所有していた施設について小池都知事が、以下のような発言をしました。

KYBが免震・制振で検査データの書き換えで、大臣認定などの不適合な製品の出荷があった事実を公表した件については、大規模地震から都民・国民の生命、そして財産を守るために、都を始め全国的に建築物の耐震化など強力に推進いたしているが、本事案がそういう中で発生したことは極めて遺憾

 

このようにKYBは国民の生命と財産を守るという自覚を改めて持ち、責任を持って装置の交換やそれに順応する対策を行うべきだと小池都知事は発言しました。国土交通省が公表した資料によると震度6~7程度の地震では倒壊する可能性は極めて低いと言われていますが、検査データを書き換えたことによって建物に対するそもそもの安全性や信頼性が失われるものであると断言しています。

しかし、豊洲市場における建築物基準法違反に対しては仲卸業者側が提訴する形となっています。この問題は設計を担当した建設事業の設計偽装や審査における偽装を見逃した東京都に問題があるという今回の不正問題と制反対の対応を見せているようです。見方によっては豊洲市場の建設に携わった事業者を擁護することに対し、否定する意見も多くKYBの不正と同じ扱いをするべきだという見解もあるでしょう。

2020年9月までに装置の作業交換を要請される

今回の免震不正問題で国は建築用免震・制振用装置の交換作業を求められましたが、早い段階で白旗をあげています。KYBは、2020年9月までの2年間に装置の新規受注をストップさせ、基準に満たない装置を全て交換する方針を固めました。しかし、KYBは国内で約45%の売上ベースを占めていることから、全国で1000件以上もの装置を交換しなければなりません。建物地下に設置されている免震装置であれば比較的簡単に交換工事を行えるものの、壁に埋め込まれた制振用装置に関しては非常に時間や手間が発生します。高層マンションやビルなどになれば、交換のために搬入する作業だけでも骨が折れることでしょう。既存の建物の屋上に装置を引き上げるためのクレーンを設置するとなると、住宅用エレベータで運ぶ方法が考えられますが、長さ1~3mもある交換用装置を詰め込むのは不可能です。このように新規交換を求められる背景の中で、KYBはさらなる課題が浮き彫りになってしまうことは避けられません。

データ改ざん問題に巻き込まれるとび職

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本の建設業界は膨大な案件を抱えると共に、人手不足が深刻化しています。免震・制振装置の交換作業をする職人は、日当5~10万円くらいの条件でなければ引き受けてくれるところは少ないでしょう。交換工事に必要なコストは床面積900平方メートルのタワーマンションを例にすると、ワンフロアに制振装置を10本程度使用することになります。交換費用は1本につき100万円以上かかることが想定されるので、建物1棟交換すると億単位になることが想像できるでしょう。

それに合わせて居住人や利用者のことを考え、短期間の工期で終わらせることが課題になります。工期中に住民が宿泊施設に滞在する場合は、さらにコストがのしかかることも考えられます。2年弱で全ての不正製品を新しく交換する見通しが立てられましたが、それに対応したからといってKYBの信頼を取り戻すことは不可能に等しいでしょう。

不正装置でも震度7程度の地震で建物が倒壊する恐れはないと実証されていますが、建物の所有者や住居人からしてみれば建物の安全性が確認されたことで納得する人はいません。これは、品質に関する責任がおろそかになっていたことに不正の代償を求めていると言えるのではないでしょうか。マンションやビルの所有者は不正製品を扱っていることで、資産価値がなくなり売却できなくなることも考えられます。賃貸の借り手が少なくなれば空き家状態が続き、経営もしくは生活にも支障をきたすことになってしまうのです。

KYBの検査データ改ざん問題は、企業のエゴとしか言いようがありません。なぜなら一番犠牲を蒙ることになるのは、私たち一般市民だからです。国民の命に関わる製品に携わっている限り、安全性・信頼性をクリアしておくことは企業にとっての対策急務と言えるのではないでしょうか。

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