プロジェクションマッピングと言うと、ダンスや映像をコラボしたものや、テーマパークのシンボルを舞台に工夫を凝らしたものなどを想像するでしょう。しかし、最近は何かをスクリーンに見立てたプロジェクションマッピングを応用した動画が話題になっているのです。
それが、私たちに親しまれてきているプロジェクションマッピングの顔面バージョン、「顔面マッピング」なのです。
今回は、顔面マッピングの特徴や最新技術が作りだす顔面マッピングについて見ていこうと思います。
顔面マッピングとは?
顔面マッピングは、その名の通り顔面をデジタルで別の表情を張り込んでいくというものです。デジタルを取り入れると、全く別人に見えたり、動物やそのほかのものに早変わりしたりと変貌のレベルが高くなっていきます。顔面マッピングは、元々テレビ番組の外国語吹き替えや技術改善で取り入れられた設計システムでした。
しかし、動画加工の技術を活用して面白おかしく配信するケースも増えてきているのです。人間の顔面をキャンバスにして変えてしまうため、最近では「プロジェクションマッピングの進化形」とも呼ばれています。
現実にあるものと、リアルなものとが融合して、今までになかった動画が次々と完成しています。これまでのプロジェクションマッピングとの違いは、動いているキャンバスに対して光を当ててその上で描画するという点です。
プロジェクションマッピングは、駅や建物をスクリーンに見立てて光を当てるというものでした。しかし、顔面マッピングは人がどんなに動いても顔自体はお面のように動きません。最近では、顔面マッピングを実際に体験できるコーナーが各所で開催されるなど、多くの人に注目されるようになってきているのです。
話題になっている動画も
では、具体的に話題になった顔面マッピングの動画をいくつか紹介していきましょう。動画には、有名人物が起用されたものや、多数のプロジェクションマッピングを手掛けた人物が制作したものまでたくさんあります。
2015年には、当時の国民的アイドル「SMAP」のメンバーが、日本の最先端技術によって支配されるという動画が配信されました。ロボットや動物に変貌する内容になっており、最先端技術に進歩を感じられます。
世界で活躍するダンスユニットAyabambi(アヤバンビ)も、高速な顔面マッピング動画に起用されています。この動画を作ったのは東京大学・石川渡辺研究室と、東京エレクトロンデバイス株式会社です。共同開発した最新鋭のプロジェクターを使用し、高速マッピングを実現しています。
この動画を作ったのは浅井宣通氏です。彼は、新宿のスパルビルやスカイツリータウンなどにおいてプロジェクションマッピングを手掛けてきました。人間の顔がメタリックに輝き、顔が割れて機械が飛び出してくる斬新な顔面マッピング動画も話題になっています。
この動画は公開からわずか5日で再生回数260万回以上を記録しているほどです。人間の顔を動きをリアルタイムにプロジェクションマッピングを施しています。2014年8月には、浅井氏が手掛ける「OMOTE」のライブインスタレーションも開催しています。
サムスンの新型スマートフォンにテレビCM用として作成された動画も、顔面マッピングの技術が使われています。
この動画では、同一人物に2種類のデザインを同時に投影しています。新しいスマートフォンが2枚のSIMカード搭載に成功した世界発の端末だったため、このような内容になったそうです。
1台で同時に2つのデザインを演じられる商品であると伝わりやすくなっています。様々なデザインが目まぐるしく投影されるため、これまでになかったCMとして注目されました。
顔面マッピングが体験できるイベントも
動画だけでなく、顔面マッピングが実際に一般の方にも体験できるイベントも開催されています。国内では、2017年に美術館において顔面マッピング体験が設置されています。では、それも含めて紹介していきましょう。
2017年には、日本発となるファン・ゴッホ美術館との国際共同プロジェクト「ゴッホ展」が開催されました。ここでは、プロジェクションマッピングと顔面を立体的に捉える技術を連動し、誰でも簡単に顔面マッピングができるインスタレーションが設置されています。
センサーが顔を認識するので、顔の形・大きさなど個々に合わせたプロジェクター映像を投射できます。顔の動きもリアルタイムで捉えるため、表情や角度を変えても映像も変形する仕組みです。
ゴッホの顔をペイントしたような映像になるため、自分の顔とゴッホの顔が融合した状態になります。ゴッホ展は2017年10月24日~2018年1月8日まで開催され、多くの方の反響を呼んでいます。
アドビシステムズが主催したクリエイター向けイベントにも、顔面マッピング体験が好評となりました「Create」というブースは、顔面マッピング体験ができ、あまりの人気ぶりで長い列ができていたそうです。
ブース内は真っ暗で、カメラとプロジェクターが用意されており、イスに座るとプロジェクションマッピングが開始されます。参加者の顔を3Dマッピングして、そのマップに合わせアニメーションをカスタマイズしていくという仕組みになっています。アートの一部になる体験ができるとあって、多くの参加者で賑わいを見せました。
最先端の技術に注目しよう
顔面マッピングは、女性が化粧をしていない状態でも可能です。そのため、今後テレビで化粧をしない芸能人が、顔面マッピングで化粧をしているかのように応用できます。最先端の技術が当たり前の時代になってくれば、動画に写っている人物が誰なのか特定しにくくなるでしょう。
現在は、写真の加工技術が進歩しており、加工しているのかさえ判断できないようなものも多くなっています。動画に顔面マッピングを活用すれば、写真と同様にナチュラルで違和感のない状態が簡単に作れるようになるでしょう。
また、動画に留まらず、今後は講演界や舞台などの演出には欠かせないものになっていく可能性もあります。舞台であれば、演劇中にヒーローやほかの何かに変身するシーンがあれば、舞台の上にいながら隠れることなく即座に変身できます。そうなれば、それを見ている観客のさらなる興奮と満足感を得られるに違いありません。
このように、顔面マッピングについて注目すると世界の最先端技術には関心させられるでしょう。将来的に、オフィスにおいて机に座っている間だけバッチリ化粧しているように投影可能になるかもしれません。今後の可能性を期待させる顔面マッピングは、さらなる展開も注目されていくでしょう。
今回は、顔面マッピングの特徴や話題の動画、実際に体験できるイベントなどについて紹介してきました。近年はプロジェクションマッピングを取り入れた様々なイベントが催されるようになっています。しかし、動く人物の顔面をキャンバスにした顔面マッピングは、リアルタイムで行うため表情や動きに合わせられるのがポイントです。
これまでになかった人間と映像のコラボレーションは、今後の可能性を大いに感じさせます。気になる方は、顔面マッピングの動画を視聴してみたり、実際に体験できるイベントに足を運んでみたりしてみてはいかがでしょうか?